リース会計・税務について
リースにおける取引の定義は、会計と税務で異なります。
会計上は「リース取引」となり、税務上は「賃貸借取引」となります。
会計上の分類
リース会計処理について
「リース会計基準」ではリースの会計処理について売買処理(利息法)を原則とし、一定の条件の下、売買処理(簡便法)や賃貸借処理を例外として認めています。
処理区分 | 売買処理 | 賃貸借処理 | |||
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原則法 | 簡便法1 | 簡便法2 | |||
適用要件 | - | リース資産総額に重要性が乏しいこと | 少額のリース(※1) 1年以内のリース 300万円以下のリース契約 |
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資産/負債 | <借方>リース資産 <貸方>リース負債 リース料総額の現在価値と 貸手の購入価額の少ない方の金額 |
<借方>リース資産 <貸方>リース負債 リース料総額 |
-(オフバランス) | ||
費用 | リース資産に係る 減価償却費 |
定額法、定率法等 (実態に応じたものを選択→多くは定額法) |
リース費用 (=支払いリース料) |
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リース負債に係る 利息費用 |
利息法 | 定額法 | 0円 ※リース負債と支払額が同額のため |
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費用の定額計上 | トップヘビー | フラット | フラット | フラット |
中小企業(※2)のお客様は、「中小企業の会計に関する指針」により、所有権移転外ファイナンス・リースについて「賃貸借処理」を行うことができます。
- ※1 重要性が乏しい資産について、購入時に費用処理している会社で、個々のリース物件のリース料総額が基準金額以下のもの。
- ※2 以下に該当しない株式会社が対象
・会社法における大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)及びその子会社
・金融商品取引法に基づく有価証券報告書提出会社及びその子会社、関連会社。
オペレーティング・リース取引の借手側の会計処理
ファイナンス・リース取引以外のリース取引は、オペレーティング・リース取引となります。
- 会計処理は賃貸借処理(借手は支払リース料を計上)
- 解約不能期間中の未経過リース料は1年内、1年超に区分し注記
- 少額資産、1年以内リース、企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で
1契約300万円以下など重要性が乏しい場合、注記は不要
税務上の分類
所有権移転リース取引の判定基準
次の1~4のいずれにも該当しないリース取引は、所有権移転外リース取引となります。
- 譲渡条件付リース取引
- 割安購入選択権付リース取引
- 専属使用資産または識別困難な資産のリース取引
- リース期間が法定耐用年数に比して相当短いリース取引(※)
※リース期間が耐用年数の70%を下回る期間のリース取引。
(耐用年数10年以上の場合は耐用年数の60%を下回る期間)
リース取引の税務上の取扱い
- 所有権移転
リース取引 - 税務上、売買取引となりお客様における自己所有の固定資産と同様の資産と見なされ、償却方法も自己所有の固定資産に準ずる方法となります。
消費税法上も同様に売買として取り扱われ、リース物件引渡時においてリース料総額に係る消費税を全額仕入控除することとなります。
- 所有権移転外
リース取引 - 税務上、売買取引となりますが所有権移転リースとは異なり、お客様における償却方法は、リース期間定額法(リース期間を償却期間とする定額法)となります。
消費税法上も同様に売買として取り扱われ、リース物件引渡時においてリース料総額に係る消費税を全額仕入控除することとなります。
なお、賃貸借処理をしている場合は、リース料支払日において、そのリース料分の消費税を仕入控除することも認められています(分割控除)。
- 金銭の貸借とされる
リース取引 - セール・アンド・リースバック取引のうち、その資産の種類、その売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これらの一連の取引が実質的に金銭の貸借(金融目的)であると認められるとリース会社から「金銭の貸付」を受けたものとして取り扱われます。
実質的に金融取引かどうかは、取引当事者の意図、リース資産の内容等から判定されます。
リース投資減税制度
リースによる設備導入で、
設備投資減税を受けられる場合があります。
リースで設備を導入した場合、以下の減税制度を利用することができます。各制度は対象企業や対象設備等について一定の条件がありますので、詳細は当社の営業担当者までお問い合わせ下さい。
固定資産税の特例措置
減税制度の種類
中小企業経営強化税制の概要 【延長】
- 適用期間
- 令和5年3月31日まで
対象事業者 | ①常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主 ②資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人(大規模法人1社が1/2出資している法人、大規模法人2社以上が2/3出資している法人を除く) ③資本もしくは出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員数が1000人以下 ④協同組合等(本法にて規定する「中小企業社等」に該当するものに限る) |
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対象取引形態 | ①所有権移転外ファイナンス・リース取引 ⇒税額控除のみ ②所有権移転ファイナンス・リース取引 ⇒即時償却・税額控除のいずれか選択可 |
措置内容 | ①取得価額の10%の税額控除(資本金30百万円超1億円以下の法人は7%) ②対象設備の即時償却(所有権移転ファイナンス・リースのみ) |
対象設備 (要件) |
生産性向上設備<A類型> ・旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上する以下の設備(工業会から証明書を取得する必要があります。) ①新品の機械及び装置 (1台・1基の取得価額が160万円以上、販売開始時期が10年以内) ②測定工具及び検査工具 (1台・1基の取得価額が30万円以上、販売開始時期が5年以内) ③器具・備品 (1台・1基の取得価額が30万円以上、販売開始時期が6年以内) ④ソフトウェア (一つの取得価額が70万円以上、販売開始時期が5年以内) ※ソフトウェアは情報収集機能及び分析・指示機能を有するものに限り、複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSなどは除きます。 ⑤建物付属設備 (一つの取得価額が60万円以上、販売開始時期が14年以内)
収益力強化設備<B類型> ・年平均の投資利益率が5%以上となる事が見込まれる以下の設備(経済産業局から確認書を取得する必要があります。) 上記<A類型>の①~⑤に該当する物件で、販売開始時期の条件はなし。 デジタル化設備<C類型> ・遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備(経済産業局から確認書を取得する必要があります。) 上記<A類型>の①~⑤に該当する物件で、販売開始時期の条件はなし。 |
その他の要件 | ①生産等設備を構成するものである事。(事務用機器や、生産に関係に関係のない本店や福利厚生施設等の付属設備等は対象外) ②国内での投資である事。 ③中古資産・貸付資産でない事。 ④電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行、娯楽(映画除く)等は対象外。 |
その他留意点 | 特例として、経営力向上計画の認定を受ける前に設備導入した場合、①「経営力向上計画」の開始日が平成31年4月1日以降であり、②「経営力向上計画」の開始日後、対象設備を導入してから60日以内に「経営力向上計画」の認定申請を行った(受理された)場合に限り、本税制の適用を受けることが出来ます。 |
生産性向上・賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置
- 適用期間
- 令和7年3月31日まで
対象事業者 (中小企業等の条件) |
下記のいずれかに該当する中小事業者等(資本金1億円超の大規模法人の子会社等を除く) ①資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下の法人 ②資本金もしくは出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員数が1000人以下の法人 ③常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主 |
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措置内容 | 賃上げ方針の表明の有無及び取得年月により、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が軽減へ 賃上げ方針表明有り:2024年3月末までに取得⇒課税標準を5年間1/3 賃上げ方針表明有り:2025年3月末までに取得⇒課税標準を4年間1/3 賃上げ方針表明無し:2025年3月末までに取得⇒課税標準を3年間1/2 (リースの場合、リース会社が固定資産税の軽減分をリース料から控除) |
対象設備 (要件) |
先端設備等導入の計画認定に基づく以下の対象設備(新品) ・年平均の投資利益率5%以上が見込まれる投資計画に記載された設備 ①新品の機械及び装置 (1台・1基の取得価額が160万円以上) ②測定工具及び検査工具 (1台・1基の取得価額が30万円以上) ③器具・備品 (1台・1基の取得価額が30万円以上) ④建物附属設備 (一つの取得価額が60万円以上) ※市町村が策定する「導入促進基本計画」によっては、対象が異なる場合があります。 |
その他の要件 | ●お客様による先端設備等導入計画及び投資計画の策定・認定が必要となります。 ●所有権移転外ファイナンス・リースで設備を導入する場合 先端設備等導入計画の認定申請時に、リース事業協会が確認した「固定資産税軽減計算書」、認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・中央会や士業・地域金融機関等)の確認書が必要。 ●新たに設備を導入する市町村が「導入促進基本計画」を策定しているか確認が必要です。 ●先端設備等導入計画の認定後に設備を取得することが必須となります。 ●認定経営革新等支援機関の事前確認や市町村における認定事務に一定以上期間を要しますので、計画の策定準備はスケジュールに余裕を持って行う必要があります。 |
中小企業投資促進税制 【延長】
- 適用期間
- 令和5年3月31日
対象事業者 | ・青色申告を提出する中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等) ・従業員数1,000人以下の個人事業主 ※対象業種については適用条件があります。 |
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対象設備 | 新品で、指定事業の用に供するものに限ります
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金額要件 | 上記1に該当する設備
対象設備の取得価額が1台・1基あたり160万円以上 上記2に該当する設備 対象設備の取得価額が1台・1基あたり120万円以上 上記3に該当する設備 一つのソフトウェアの取得価額が70万円以上 上記4・5に該当する設備 金額要件がありません |
措置内容 | 上記1~4に該当する設備
取得価額×7%の税額控除または取得価額×30%の特別償却。 上記5に該当する設備取得価額×75%×7%の税額控除または取得価額×75%×30%の特別償却 ※ 所有権移転外ファイナンス・リース取引は、特別償却の適用ができません。 |